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【世界の何だコレミステリー】で、2000年に起こったブラジルバスジャック事件が取り上げられます。
ブラジルバスジャック事件は、犯人の青年がバスで乗客を人質に取り、その様子がテレビで生中継され、最終的には犯人は死亡し、被害者は1名が亡くなりました。
一般的なバスジャック事件かと思われましたが、のちにその場に居合わせた人質の乗客たちから驚くべき真実が語られ、「史上最悪な悲しい事件」とまで言われる事件だったことが明らかになりました。
今回はそんな、ブラジルバスジャック事件の真相や犯人の生い立ちなどについて見ていこうと思います。
ブラジルバスジャック事件
ブラジルバスジャック事件は、2000年にブラジル・リオデジャネイロで起こりました。
バスジャック事件発生
2000年6月、リオデジャネイロの路線バスのバス停に並んでいた市民たち。
その中の一人の男が、銃を持っていることに気づき警察に通報。
警察が駆けつけると、男はバスに乗り込み乗客の女性に銃を突きつけ人質に取ります。
バスで警告する警察たちに「お前たちが降りろ。さもないとこいつの頭を吹っ飛ばすぞ!」と。
11人の乗客を人質に取り、バスに立てこもりました。
犯人は車外に向け発砲し、「逃走用の車」を要求します。
テレビで生中継される
バスの様子がおかしいことは、周りの人達にも伝わり野次馬が集まり始め、事件は瞬く間に知れ渡ります。
これを聞きつけたメディアたちがバスの周りからテレビで生中継を始めました。
この放送はブラジル全土で流され、多くの人たちが中継を見ていたようです。
男は、テレビカメラに向かって、
「おい、ブラジル! 俺を映してくれ! 俺はカンデラリアにいた」
「イボーネを今すぐここに呼べ!」
「警察は卑怯者だ」
などと叫んでいました。
特殊部隊
人質を開放しようと特殊部隊「BOPE」がバスを取り囲み、スナイパーも狙撃体制に入ります。
実はこのとき、テレビで生中継されていることから、多くの人の前で犯人を射殺する場面をブラジル国民に見せるわけにはいかず、
人質の命を守り、犯人を生きたまま確保するというのが課されたミッションだったようです。
死の宣告
警察は犯人の要求に答えるわけにもいかず時間が過ぎていく中、犯人はある行動に出ます。
人質の女子大学生に銃を突きつけ窓際に連れて行くと、持っていた口紅で、、
「彼は悪魔と手を組んでいる」
「彼はやり遂げる」
「全員を殺す。午後6時に」
と文字を書き始めます。
さらに、犯人は車から身を乗り出し、
「いいことを教えてやるよ! そっちが本気ならこっちも本気だ。脅しにビビる俺じゃない! こいつの頭が飛ぶ前に手榴弾とライフルをよこせ。6時になったらブラジル中に、こいつが死ぬのを見せてやる!」
と叫びました。
タイムリミット前に…
犯人が設定したタイムリミットは午後6時。
警察と犯人とのにらみ合いが続く中、タイムリミットの20分前となる「5時40分」。
男は、女子大生の頭に布をかぶせ床にひざまずかせると、
タイムリミット前に、女子大生に向かって銃を撃ったのです。
それを見た人質たちはパニックとなり叫びます。
「彼女を殺したわ。床が血だらけになっているのよ」
「言うとおりにしてよ。1人死んだのよ」
乗客たちの叫ぶ姿もカメラに映されました。
犯人は意外な行動に
警察も犯人の要求に応じることもできず、膠着状態が続く中で
人質の一人へ発砲した犯人でしたが、意外な行動に出ます。
人質である一人の女性を抱えバスの外に降りてきました。
どういった意図なのか?予想外な行動に警察も警戒しますが、投降しようしていると判断し、犯人に近づきます。
警察は、犯人が抱える女性に対し30cmの至近距離まで近づきました。
すると、至近距離から警察は発砲。
おそらく犯人に向けて銃を撃ち、女性を開放しようと考えたのでしょう。
その後、犯人の男を拘束することに成功します。
最悪な結末
なんと、開放しようと警察が発砲した銃弾は、人質の女性に命中。
撃たれた女性は、なんと警察の発砲により、死亡してしまいました。
また、拘束された犯人は、暴れたことから警察は犯人を抑え込もうと、おさえつけますが誤って首を締めてしまいます。
犯人の男は、この拘束によって窒息死していまいました。
テレビの中継画面からは、警察の逮捕劇のように映っていましたが、実はそこには悲しすぎる真実がありました。
犯人の生い立ち
犯人は「サンドロ・ド・ナシメント」という21歳の青年でした。
サンドロ・ド・ナシンメント
サンドロは、スラム出身の元ストリートチルドレンで、幼い頃から多くの犯罪を目にしてきました。
その生い立ちは凄まじく、生まれてすぐに父親は蒸発、母親に育てられますが9歳のときに目の前で暴漢に刺し殺されました。
そんなサンドロを変わりに育てたのが「イボーネ」という女性。
カンデラリア教会という場所で、ストリートチルドレンたちに寝泊まりや世話をしてあげていた優しい人でした。
カンデラリア教会虐殺事件
1993年7月23日に、カンデラリア教会虐殺事件が起こりました。
この事件は、パトカーへ石を投げた子どもたちへの復讐として、2人の警察官が深夜に子ども達の寝ている教会へ侵入し、無差別に発砲。
その結果8人が亡くなりましたが、実はそこにサンドロもいたため、標的にされており死んでもおかしくなかったのです。
警察が子どもたちを射殺するこの衝撃的な事件は、ブラジル全土で知れ渡りました。
こういった過去があり、警察へ憎悪を募らせていたのでしょう。
バスジャックをした際にテレビカメラに向かって放った
「おい、ブラジル! 俺を映してくれ! 俺はカンデラリアにいた」
「イボーネを今すぐここに呼べ!」
「警察は卑怯者だ」
という言葉は、サンドロの過去を伝えるためのものでした。
生きるために犯罪を
サンドロは生きるために犯罪を繰り返し、窃盗・強盗・違法薬物の売買など、合計2回刑務所に収監されました。
明らかにされた悲しい真実
このバスジャック事件の後に乗客たちから語られた、悲しすぎる真実が明らかになります。
殺意はなかった
犯人のサンドロは、人質たちに「誰も殺さないし、傷つけない」と話し、殺意がないことを伝えていました。
そもそも、サンドロがバスに乗り込んだのは、乗客を銃で脅し金をゆすり取ろうとしただけだったそう。
バスジャックをしてまで、自身の過去を伝えようなどとは考えていなかったことがわかります。
また、サンドロは「警察に捕まればきっと殺される」と、恐怖に怯えてまでいたといいます。
演技だった
バスの中で起こったことは、全てサンドロが指示をし、乗客たちが演技をしていただけでした。
テレビ中継のカメラでも、人質の女子大生を撃ったとされる様子が映されていましたが、実際はサンドロは狙いを外し、殺してなどいませんでした。
その時サンドロは、
「100まで数えてから撃つ。でもお前を殺しはしない。俺が撃ったら、みんなで悲鳴をあげるんだ。いいな?」
と、指示をし、乗客たちは「女子大学生が殺された!」と叫び演技をしていただけだったのです。
最悪な結末
のちに分かることとなったバスジャックの真実。
犯人のサンドロはバスジャックなどしようと思っておらず、
誰一人として殺そうともしていなかった。
最終的には、警察によって人質の女性が亡くなり、サンドロ自身も窒息死させられてしまう。
という、なんとも悲しく最悪な結末になってしまいました。
まとめ
今回は、ブラジルバスジャック事件の悲しすぎる真相や犯人について見てきました。
一見すると凶悪な犯人サンドロですが、実は心の奥底にはどこか優しさも持ち合わせていたように感じられました。
警察にも失態はありましたが、真実は知り得ない状態での対応だったため、致し方ない部分でもありますね。
同じような事件は二度と起こっては欲しくありませんね。
最後までお読みありがとうございました。